読む・感じる・考える〜日々考読
今日は何を読もうかな。
近くて遠い人
今日も岩手や青森で大きな地震がありましたね。親戚が岩手に住んでいるので心配でしたが無事が確認できて一安心でした。
震度が大きかったわりに被害が少なかったのは、先月の地震の教訓で家具を固定するなどの対策をとっていたことが影響しているそうです。
うちはまったく対策していません…何とかしなければ。

さて今回は、半ば意地になって選んだ吉田作品です。
いい評価が多い吉田作品のよさを何とか私も感じたい―と思っているわけでして。







パーク・ライフ (文春文庫)パーク・ライフ (文春文庫)
(2004/10)
吉田 修一

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表題作『パーク・ライフ』と『flowers』の中編2作が入っており、どちらも比較的軽快な語り口調の作品です。
『パーク・ライフ』は芥川賞受賞作品。

『パーク・ライフ』は日比谷公園を主な舞台としてひょんなことから知り合った男女の微妙な関係が描かれています。
主人公の男性の優柔不断さ・決断力のなさがかえって静かな緊張感を読み手に与えていて、ラストまで目が離せない雰囲気をうまく作っていると感じました。ラストらしきラストがないのはもはや吉田氏の特色だと思えるある種予想できた展開ではありますが、他の作品よりは余韻が残ってよかったですね。
また『flowers』は配送会社内の複雑で鬱屈した人間関係を中心に主人公が徐々に変化していく様子がなかなか迫力ありました。
しかし粘っこい面とさらりとした面との相反する雰囲気を醸し出す不倫関係の描写には若干満腹感があり、ラスト近くの暴力シーンも人間が内に秘めているいやらしさがさらけだされていて嫌悪感がわき上がります。
自分さえよければいいという人間が一人いると周囲にもその意識が伝染していくという怖さがありました。

大きな文学賞を受賞した作品とはいえ構えて読むような内容ではないので読みやすいでしょう。
いかにも現代人といった登場人物に自分が重なる箇所があるかもしれませんね。






この本は…

●さらりと読める小説を探している人
●ささいな日常の中に何かを見つけたい人
●仕事に行き詰まりを感じている人

におすすめします。





自分が住んでいる土地が舞台となった小説を読むとついつい入り込んでしまいますね。主人公が動くたびに舞台やその周辺の地理が頭の中で描けるからでしょうか。しかし小説を通じて知らない土地にワープできるのも読書の魅力、仮想旅行をこれからもどんどん楽しみたいです。

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虚脱感あふれるリアル
雨予報だったので傘を持って出かけたのですが、見事に空振りでした。降りそうで…降らない。
今年の梅雨は雨が少ないですよね。
真夏に水不足にならないか、今からちょっと心配してしまいます。

さてさて、タイトルと表装に惹かれて手に取った今回の吉田作品。
前回の鬱憤を晴らしてくれるかな。






熱帯魚 (文春文庫)熱帯魚 (文春文庫)
(2003/06)
吉田 修一

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3つの短編が入っていますが…残念ながら前回の鬱憤を晴らすのはちょっと無理でした。
これは単に好みの問題なのでしょう(と思いたいです)が、どうもストーリーが中途半端に感じてしまいます。読み終わった後「…で? え、もう終わってしまった…」という暗い衝撃があるんですね。

特にそれを感じるのが2つめの『グリーンピース』。
今いち感情の歯車がかみ合わない恋人にいらだつ主人公の日常生活が描かれるのですが、DVだからなのか単なる若気の至りなのか、主人公の言動の意味がよく分かりませんでした。その意味のなさがそのまま主人公の立ち位置を示唆しているのかもしれませんが…たいていの日常生活に大した意味はないということを言いたいのか…うーむなかなか難しい。

もちろん小説は創作物だから何でもありです。
こういうジャンルというか作風があってもいいのかもしれません。
『日常生活って波乱万丈にいろいろ起きるものじゃないでしょ』と言われているような迫力は感じますが、この作品の世界観をリアルに感じられるかというとどうでしょう…読み手の嗜好によってかなりそのとらえ方は分かれるでしょう。

著者の意図や訴求はいらない、ただそこにある単純な話を目で追って生きたい―という読み方もあるのかなと新たな世界を見たように思います。






この本は…

●自分の毎日だけ平凡すぎるような気がする人
●きれいごとのない内容の小説が読みたい人
●解釈が自由にできる小説を読みたい人

におすすめします。





小型の熱帯魚の中でもひときわ長いヒレと鮮やかな体色が美しいベタが、先日入った居酒屋のカウンターの端に置かれた小さい水槽の中でふよふよと泳いでいました。ベタのオスは闘魚なので気性が荒いらしいのですが、見る限りではとてもかわいい魚。うちでも飼ってみようかな。

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みんなねじれていく
先日TVのニュース番組で、チーズやバターの供給不足問題を特集しているのを見ました。
生乳の需要が減ったために減産したことがまわりまわって製品不足→店頭の品薄状態につながっているそうで、「生乳を増産し国内自給率を高めよう」とまとめられていました。
増産すればまた余剰分の廃棄につながり、減産のままだと乳製品が供給できない…という閉塞的状況を知って、食糧の生産調整の難しさを感じます。

起こった問題に対してストレートに解決方法を実行できないもどかしさは、人間関係においても同じ。
そんな悩ましい状況を描いた作品がありました。






ランドマーク (講談社文庫)ランドマーク (講談社文庫)
(2007/07/14)
吉田 修一

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ベッドタウンでの大型建設プロジェクトに関わる建築家と鉄筋工、この二人の主人公の生活と徐々に施工が進んでいくビルの様子とがうまくリンクしながらストーリーが展開します。

少しずつ少しずつ感情が、そして状況がねじれていく毎日。
少しずつ少しずつそのスパイラル構造を現していく巨大ビル。
見えなくなっていくものと見えてくるものの対比が後半にいくにしたがって緊張をはらみどうなってしまうんだろうという不安を読み手に抱かせてくれます。

が。
その割にラストが淡白でした。それまでの緊張感も不安もぶっちり切れてぶらりと垂れ下がってしまったような中途半端さがかなり残念です。
結果を焦るあまり手を抜くことへの警告なのか、絶望的な状況でも最後まで諦めないことへの希望なのか…とらえ方は読み手次第と一番肝心なところで投げ返されてしまった印象を受けました。
うーむ、これは単に私の読解力不足?

建築現場の様子や設計施工の説明部分は個人的な関心ゆえに読んでいて楽しいものがありました。
しかしできたら続編を消化不良が当分おさまりそうにありません。





この本は…

●一貫して状況の写実に徹している小説を読みたい人
●建築業界の裏側に関心がある人
●地方から都会に出てきて働いている人

におすすめします。





ランドマークとは「方向を見定める場合の手軽な道案内としての役割、その都市のイメージを決定付けるもの」だそうで(Wikipediaより引用)、タワーではなく歴史的建造物や山等の自然物をランドマークと位置づける国もあるとか。確かに長い年月地元で親しまれているものこそランドマークにふさわしいという気もしますね。

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Author:ふくふく
旅行・ドライブ・食べ歩き・雑貨ショップめぐりが趣味。
そして読書は一番新しい趣味になりました。
皆さんの本選びのご参考に―。



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