読む・感じる・考える〜日々考読
今日は何を読もうかな。
みんなねじれていく
先日TVのニュース番組で、チーズやバターの供給不足問題を特集しているのを見ました。
生乳の需要が減ったために減産したことがまわりまわって製品不足→店頭の品薄状態につながっているそうで、「生乳を増産し国内自給率を高めよう」とまとめられていました。
増産すればまた余剰分の廃棄につながり、減産のままだと乳製品が供給できない…という閉塞的状況を知って、食糧の生産調整の難しさを感じます。

起こった問題に対してストレートに解決方法を実行できないもどかしさは、人間関係においても同じ。
そんな悩ましい状況を描いた作品がありました。






ランドマーク (講談社文庫)ランドマーク (講談社文庫)
(2007/07/14)
吉田 修一

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ベッドタウンでの大型建設プロジェクトに関わる建築家と鉄筋工、この二人の主人公の生活と徐々に施工が進んでいくビルの様子とがうまくリンクしながらストーリーが展開します。

少しずつ少しずつ感情が、そして状況がねじれていく毎日。
少しずつ少しずつそのスパイラル構造を現していく巨大ビル。
見えなくなっていくものと見えてくるものの対比が後半にいくにしたがって緊張をはらみどうなってしまうんだろうという不安を読み手に抱かせてくれます。

が。
その割にラストが淡白でした。それまでの緊張感も不安もぶっちり切れてぶらりと垂れ下がってしまったような中途半端さがかなり残念です。
結果を焦るあまり手を抜くことへの警告なのか、絶望的な状況でも最後まで諦めないことへの希望なのか…とらえ方は読み手次第と一番肝心なところで投げ返されてしまった印象を受けました。
うーむ、これは単に私の読解力不足?

建築現場の様子や設計施工の説明部分は個人的な関心ゆえに読んでいて楽しいものがありました。
しかしできたら続編を消化不良が当分おさまりそうにありません。





この本は…

●一貫して状況の写実に徹している小説を読みたい人
●建築業界の裏側に関心がある人
●地方から都会に出てきて働いている人

におすすめします。





ランドマークとは「方向を見定める場合の手軽な道案内としての役割、その都市のイメージを決定付けるもの」だそうで(Wikipediaより引用)、タワーではなく歴史的建造物や山等の自然物をランドマークと位置づける国もあるとか。確かに長い年月地元で親しまれているものこそランドマークにふさわしいという気もしますね。

テーマ:ブックレビュー - ジャンル:本・雑誌

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